Q30.口唇裂のみの子供の場合、言語に問題が生ずることがありますか。

A30.

 口蓋裂の手術のあとに鼻咽腔閉鎖機能不全がある場含、すなわち手術後も鼻もれの強い場合の発音を補助する装置のことです。
 ですから、口蓋裂の子供さんのすべてがこの装置を使用するわけではありません。言語の定期検診で鼻もれがある場合、このスピーチエイドを作製し、言葉の悪い癖がつかないようにして言語治療をします。閉鎖機能不全が軽度の場合は、再手術をしなくてもスピーチエイドにより訓練しただけで正しい発音ができることもあります。また、再手術を行う場合でも、私達の経験から、スピーチエイドで訓練していた子供さんは、していない子供さんに比べ、手術復、早期に言語が改善し、手術結果も良好です。
 また、全身状態などの理由で再手術などができない子供さんの場合は、長期問に渡って便用することになりますが、この装置によって正営発音は可能になります。
 スピーチエイドの他にもパラタルリフト、特殊なオブチュレイターなどの言語治療用の補助装置がありますが、これらはすべて一人一人の状態を診査し作製されます。技術的に高度なため、言語治療士と口腔外科医と補綴歯料医のチーム医療を行っている施設に限られているのが現状です。
 言語に多少異常があるからといって、すぐ手術をするというのではなく、口蓋裂の言語専門の言語治療士に診てもらい、原因は何によるのか、スピーチエイドなどの訓練装置のみで治るのかどうか、また、顎や歯の位置の異常で矯正歯科治療を受けることにより治るのかどうかなどを検討したうえで再手術を決定しています。